トラリピの含み損(ドローダウン)を減らすことができないかバックテスト検証してみた1(取引レンジ編)

トラリピの含み損(ドローダウン)を減らすことができないかバックテスト検証してみた1(取引レンジ編)

こんにちは、ぬこにゃんです。

前回の記事では、FX取引におけるトラリピ系EAの基本的な運用方法と、バックテストの結果をお見せしました。

今回は、トラリピ系EAのドローダウンを減らすための検証結果をお届けします。

トラリピの特性上、価格がレンジ内で動くことを想定すれば、含み損の減少は可能だと考えました。前回の記事でご紹介した「ハーフアンドハーフ戦略」がドローダウンを大幅に減らせることがわかりましたが、さらに効果的な方法を探るために、過去10年間のバックテストで大きな含み損が発生した期間(2019年11月以降)に焦点を当てて、ドローダウン(含み損)をどのように減らせるかを検証しました。

この記事では、トラリピ系EAを運用する上で、ドローダウン(含み損)を減らし、より安定した運用を目指すためのヒントが満載です。それでは早速、検証結果を見ていきましょう。

検証の目的と理由

今回の検証の目的は、トラリピ系EA(エキスパートアドバイザー)のドローダウン(含み損)を減らすことができるかを確認することです。ドローダウン(含み損)を減少させることで、必要な資金量も減らすことができ、より効率的に資金を運用することが可能になります。

検証の目的

含み損(ドローダウン)の減少

ドローダウン(含み損)が減少すれば、運用に必要な資金量も減らすことができます。これにより、より少ない資金でトレードを行うことができ、資金の効率的な活用が可能となります。

取引レンジを調整した際のドローダウン(含み損)の最大値を求め必要資金を算出します。

検証の理由

トラリピ系EAの特性上、価格がレンジを超えてトレンド相場になると対応が難しくなります。しかし、レンジ内で価格が動くことを想定すれば、含み損を減少させることが可能です。

前回の記事で紹介した「ハーフ&ハーフ戦略」が、ドローダウン(含み損)を大幅に減らせることが分かりましたが、さらに効果的な方法を探るために、今回の検証を行っています。

過去のバックテストから

過去10年間の高値安値レンジでのバックテストを行い、含み損が大きく発生した部分を特定しました。特に、2019年11月以降のデータに注目し、ドローダウン(含み損)の減少を検証することで、より現実的な運用方法を見つけ出します。

複数の戦略の検証

今後の検証は、すべてハーフ&ハーフ戦略をベースに新たな戦略を考え検証します。今回は、取引レンジに対する戦略を検証していきます。

  1. 過去10年間の高値安値を取引レンジとした戦略を検証します。
  2. 過去10年間の終値を使いヒストグラムを作成します。出現頻度の高い価格帯を取引レンジとした戦略を検証します。
  3. 2の出現頻度の高い価格帯の取引レンジをさらに狭くした戦略を検証します。

高値安値を取引レンジとしたバックテスト結果(高値安値レンジ)

今回の検証では、まず過去10年間の高値安値レンジでトラリピ系EAのバックテストを実施しました。この方法は、市場の極端な動きにも対応できるように設定されています。

以下は実際の取引レンジをチャート上で表しています。

バックテストのパラメータ

ハーフ&ハーフ戦略をもとに、過去10年の高値安値を取引レンジとしました。高値安値レンジのバックテストのパラメータは以下の通りです。

ロット数0.1
トレード幅10pips
利益幅10pips
売りレンジ上限(レンジ上限)1.15
売りレンジ下限(レンジ中心ライン)1.075
買いレンジ上限(レンジ中心ライン)1.075
買いレンジ下限(レンジ下限)1.0
スプレッド3pips

バックテストの結果

バックテストの結果、最大ドローダウンは2,453,859円 (80.67%)となりました。

以下は、損益グラフと表になります。

※2019年11月1日から2024年6月1日までのバックテスト結果。
 資産(青線)、ドローダウン(含み損・緑線)

資金3,000,000円
純利益5,895,753円
絶対ドローダウン2,411,888円
最大ドローダウン2,453,859円 (80.67%)
相対ドローダウン80.67% (2,453,859円)
総取引数7,826回

バックテストでは、最大ドローダウンが約245万円となりました。

ヒストグラムを用いた出現頻度の高いレンジでのバックテスト結果1(ヒストグラムレンジ)

次に、ヒストグラムを使い、出現頻度の高い価格帯をレンジとしたバックテストを行いました。

この方法は、価格が頻繁に出現する帯域に特化することで、より効率的な取引を目指すものです。

上記は2014年1月から2024年5月までの1時間足データを基にしたヒストグラムです。

このヒストグラムから、取引レンジを下限1.025、上限1.125とし、レンジの中心線を1.075と設定します。

以下は実際の取引レンジをチャート上で表しています。

バックテストのパラメータ

ヒストグラムレンジのバックテストのパラメータは以下の通り設定します。

ロット数0.1
トレード幅10pips
利益幅10pips
売りレンジ上限(レンジ上限)1.125
売りレンジ下限(レンジ中心ライン)1.075
買いレンジ上限(レンジ中心ライン)1.075
買いレンジ下限(レンジ下限)1.025
スプレッド3pips

バックテストの結果

バックテストの結果、最大ドローダウンは2,432,947円 (79.98%)となりました。

以下は、損益グラフと表になります。

※2019年11月1日から2024年6月1日までのバックテスト結果。
 資産(青線)、ドローダウン(含み損・緑線)

資金3,000,000円
純利益4,859,590円
絶対ドローダウン2,390,971円
最大ドローダウン2,432,947円 (79.98%)
相対ドローダウン79.98% (2,432,947円)
総取引数6,823回

今回の最大ドローダウンは2,432,947円 (79.98%)となりました。

ほとんどドローダウンが改善されていません。さらに、純利益が約18%も落ちてしまいました。

これらの結果から、このヒストグラムレンジは採用しないこととします。

ヒストグラムを用いた出現頻度の高いレンジでのバックテスト結果2(ヒストグラム極狭レンジ)

今度は、ヒストグラムで出現頻度の高い価格帯のレンジをさらに狭くし、より価格が頻繁に出現する帯域に特化することで、効率的な取引を目指します。

取引レンジをヒストグラムで表すと以下のようになります。

上記は2014年1月から2024年5月までの1時間足データを基にしたヒストグラムです。このヒストグラムから、取引レンジを下限1.04、上限1.11とし、レンジの中心線を1.075と設定します。

バックテストのパラメータ

ヒストグラム極狭レンジのバックテストのパラメータは以下の通り設定します。

ロット数0.1
トレード幅10pips
利益幅10pips
売りレンジ上限(レンジ上限)1.11
売りレンジ下限(レンジ中心ライン)1.075
買いレンジ上限(レンジ中心ライン)1.075
買いレンジ下限(レンジ下限)1.04
スプレッド3pips

バックテストの結果

バックテストの結果、最大ドローダウンは2,083,450円 (68.49%)となりました。

以下は、損益グラフと表になります。

※2019年11月1日から2024年6月1日までのバックテスト結果。
 資産(青線)、ドローダウン(含み損・緑線)

資金3,000,000円
純利益4,186,839円
絶対ドローダウン2,041,443円
最大ドローダウン2,083,450円 (68.49%)
相対ドローダウン68.49% (2,083,450円)
総取引数6060回

今回のバックテストで、最大ドローダウンは2,083,450円 (68.49%)となり、高値安値レンジのバックテストと比べ約12%改善しました。

純利益は4,186,839円と、高値安値レンジと比べ、約29%と3割も落ちてしまいました。

これらの結果から、利益率は大きく下がったものの、ドローダウンは大幅に改善されたため、資金量によってはこの戦略を採用する価値があるかもしれません。

まとめ

今回の記事では、トラリピの取引レンジを調整することでドローダウン(含み損)を減少させる方法について検証しました。

  • 高値安値レンジでのバックテスト: 市場の極端な動きにも対応できるが、ドローダウンが大きい。
  • ヒストグラムレンジでのバックテスト: ドローダウンが改善されず、利益率が低下。
  • ヒストグラム極狭レンジでのバックテスト: ドローダウンが大幅に改善されたが、利益率の低下が課題。

これらの結果から、取引レンジを狭くすればドローダウンの改善より、収益性の低下が大きいことがわかりました。

しかし、資金量が少ない場合には、ヒストグラム極狭レンジのような設定が有効となる可能性があります。

次回の記事では、注文ロットの調整を通じてドローダウンを減少させる方法について検証します。引き続き、トラリピ系EAの運用に役立つ情報をお届けしますので、お楽しみに。

私がこの記事を書いたよ!

ぬこにゃん

ぬこにゃん

為替市場の鋭い眼を持つネコにゃん! 自宅の心地よいオフィスから世界経済を見守り、 飼い主の傍らで日々のトレード 生活費を稼いでで飼い主を支えるにゃ!

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