- 2024年6月25日
トラリピの含み損(ドローダウン)を減らすことができないかバックテスト検証してみた1(取引レンジ編)
こんにちは、ぬこにゃんです。 前回の記事では、FX取引におけるトラリピ系EAの基本的な運用方法と、バックテストの結……
こんにちは、ぬこにゃんです。
前回の記事では、トラリピの取引レンジを調整することでドローダウン(含み損)を減少させる方法を検証しました。
今回は、注文ロットの調整によって、ドローダウン(含み損)を減少させることができないかと考えました。具体的には、ポジション調整と利益幅調整の2つのアプローチで、ドローダウン(含み損)の減少を目指します。
この記事では、トラリピ系EAの安定した運用を目指すためのヒントが満載です。それでは早速、検証結果を見ていきましょう。
今回は、トラリピ系EA(エキスパートアドバイザー)のポジション調整と利益幅調整の2つのアプローチでドローダウン(含み損)を減らすことができるかを確認します。
ドローダウン(含み損)を減少させることで、必要な資金量も減らすことができ、より効率的に資金を運用することが可能になります。
ドローダウン(含み損)が減少すれば、運用に必要な資金量も減らすことができます。これにより、より少ない資金でトレードを行うことができ、資金の効率的な活用が可能となります。
トレードにポジション調整を組み込んだ際の必要資金を算出します。計算することでドローダウン(含み損)の最大値を求めることができます。
今回も過去10年間の高値安値レンジでのバックテストから含み損が大きく発生した部分、2019年11月以降のデータに注目し、ドローダウン(含み損)の減少を検証します。
今回もハーフ&ハーフ戦略はそのままに、ポジション調整と利益幅調整を取り入れた戦略の検証を行います。各検証結果は、ロット調整や利益幅調整を行っていない過去10年間のバックテストと比較します。
調整なしの過去10年間の高値安値レンジでのバックテストの結果になります。
以下は実際の取引レンジをチャート上で表しています。
調整なし検証のバックテストのパラメータは以下の通りです。
ロット数 | 0.1 |
トレード幅 | 10pips |
利益幅 | 10pips |
売りレンジ上限(レンジ上限) | 1.15 |
売りレンジ下限(レンジ中心ライン) | 1.075 |
買いレンジ上限(レンジ中心ライン) | 1.075 |
買いレンジ下限(レンジ下限) | 1.0 |
スプレッド | 3pips |
バックテストの結果、最大ドローダウンは2,453,859円 (80.67%)となりました。
以下に、損益グラフと表を示します。
※2019年11月1日から2024年6月1日までのバックテスト結果。
資産(青線)、ドローダウン(含み損・緑線)
資金 | 3,000,000円 |
純利益 | 5,895,753円 |
絶対ドローダウン | 2,411,888円 |
最大ドローダウン | 2,453,859円 (80.67%) |
相対ドローダウン | 80.67% (2,453,859円) |
総取引数 | 7,826回 |
次に、価格の位置によってロット数を増減させる戦略を検証します。
価格がレンジの中心線付近の場合はロット数を減らし、レンジの上限、下限の場合はロット数を増やす戦略を検証します。
以下は実際の取引レンジをチャート上で表しています。
パラメータは以下の通りです。パラメータ設定にはありませんが、レンジ中心からレンジの上限、下限までを5分割して注文時に自動でポジションを増減させます。
レンジの中心線から設定ロット数に対して60%、80%、100%、130%、レンジの上限、下限では150%のポジションを持ちます。
下記パラメータ設定では、0.1ロットの設定なので、レンジの中心線から0.06、0.08、0.1、0.13、0.15とポジションが増えることになります。
ロット数 | 0.1 |
トレード幅 | 10pips |
利益幅 | 10pips |
売りレンジ上限(レンジ上限) | 1.15 |
売りレンジ下限(レンジ中心ライン) | 1.075 |
買いレンジ上限(レンジ中心ライン) | 1.075 |
買いレンジ下限(レンジ下限) | 1.0 |
スプレッド | 3pips |
バックテストの結果、最大ドローダウンは2,063,235円 (32.73%)となりました。最大ドローダウンが大幅に改善されています。
以下は、損益グラフになります。
※2019年11月1日から2024年6月1日までのバックテスト結果。
資産(青線)、ドローダウン(含み損・緑線)
以下は通常検証とロット調整検証の比較表になります。
調整なし検証 | ロット調整検証 | |
純利益 | 5,895,753円 | 5,392,267円 |
絶対ドローダウン | 2,350,150円 | 1,934,200円 |
最大ドローダウン | 2,453,859円 (80.67%) | 2,063,235円 (32.73%) |
相対ドローダウン | 80.67% (2,453,859円) | 64.77% (1,959,641円) |
総取引数 | 7,826回 | 7,826回 |
利益減少を約9%に抑え、最大ドローダウンは調整なし検証に比べ大幅に改善されました(約48%の改善)。
これらの結果から、ロット調整検証は採用する価値があります。
今度は、ロット数を増減させる戦略に加え、価格の位置によって利益幅を増加させる戦略を検証します。
取引レンジは過去10年の高値安値を採用し、価格がレンジの中心線付近では利益幅はそのまま、レンジの上限、下限では利益幅を大きくする戦略を検証します。
利益幅調整検証のパラメータは以下の通りです。パラメータ設定にはありませんが、レンジ中心からレンジの上限、下限までを5分割して自動で決済時の利益幅を増加させます。
レンジの中心線から設定利益幅に対して1倍、1.4倍、1.8倍、2.2倍、レンジの上限、下限では2.5倍の利益幅にします。
下記パラメータの利益幅は、10pipsの設定なので、レンジの中心線から10pips、14pips、18pips、22pips、25pipsと利益幅が増えることになります。
※基本的にトラリピ系のトレードは、トレード幅を狭く、利益幅を広くすることで利益が高くなる傾向があります。
ロット数 | 0.1 |
トレード幅 | 10pips |
利益幅 | 10pips |
売りレンジ上限(レンジ上限) | 1.15 |
売りレンジ下限(レンジ中心ライン) | 1.075 |
買いレンジ上限(レンジ中心ライン) | 1.075 |
買いレンジ下限(レンジ下限) | 1.0 |
スプレッド | 3pips |
バックテストの結果、最大ドローダウンは2,077,605円 (32.80%)となりました。ロット調整だけのものより、ドローダウンが0.07%増加していますが、利益は約1%上昇しています。
以下は、損益グラフになります。
※2019年11月1日から2024年6月1日までのバックテスト結果。
資産(青線)、ドローダウン(含み損・緑線)
以下は通常検証とロット、利益幅調整検証の比較表になります。
調整なし検証 | ロット調整検証 | 利益幅調整検証 | |
純利益 | 5,895,753円 | 5,392,267円 | 5,485,602円 |
絶対ドローダウン | 2,350,150円 | 1,934,200円 | 1,948,564円 |
最大ドローダウン | 2,453,859円 (80.67%) | 2,063,235円 (32.73%) | 2,077,605円 (32.80%) |
相対ドローダウン | 80.67% (2,453,859円) | 64.77% (1,959,641円) | 65.25% (1,974,333円) |
総取引数 | 7,826回 | 7,826回 | 5,937回 |
大幅な改善は見られませんでしたが、利益の増加がみられるため、採用する価値があると考えます。
今回の検証では、以前の記事で紹介したハーフ&ハーフ戦略、取引レンジに加え、ポジション調整と利益幅調整の2つのアプローチを用いました。
前回のヒストグラムを用いた戦略では、ドローダウンの改善より、利益が大きく減少してしまいました。
しかし、ロット調整検証では、最大ドローダウンが大幅に改善され、利益の減少は最小限に抑えることができました。そして、利益幅調整検証では、若干ではありますが利益を改善させることができました。
前回と今回の検証結果から以下のことがわかりました。
これらの結果を踏まえ、トラリピ系EAの運用において、ドローダウンの改善にはポジション調整が最も効果的であるという結論に至りました。
今後は、これらの機能を実装したEAを実際に稼働させていきます。取引実績も載せていきますので、お楽しみに。
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