原油の先物の買い方と仕組み、価格帯を徹底解説!石油との違いは?

原油の先物の買い方と仕組み、価格帯を徹底解説!石油との違いは?

原油は世界経済を支える重要な資源の一つであり、その価格は株式市場や為替相場にも大きな影響を与えます。

特に原油先物取引は、資産運用や投機的な取引の手段として人気がある一方、「どのように始めるのか」「仕組みはどうなっているのか」「いくらから取引できるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

今回は初心者が気になる「原油先物の買い方」を中心に、原油の種類や取引の特徴、価格変動要因、さらにはおすすめの投資方法まで、徹底解説していきます。

原油取引とは?石油とちがうの?

原油取引とは、原油(石油)の価格を売買する取引のことで、主に投資家や企業が原油の価格変動を利用して利益を得たり、原油を確保するために行われます。

ガソリンの値段が変動するのも、これが理由だにゃ!

原油取引の基本

原油取引とは、世界の原油相場を基準にして売買が行われる取引形態のことです。

原油取引の基本

  • 原油は供給が限られているため、需要によって価格が変動する
     例:戦争や災害で供給が減ると、価格が上がる
  • 原油の種類はWTI(West Texas Intermediate)=アメリカ基準の原油と、Brent原油=ヨーロッパ基準の原油の2種類がある。
  1. 原油は世界経済に不可欠な資源
    • ガソリンやプラスチック、化学製品の材料として使用されるため、需要が高い。
    • 供給が限られているため、価格が変動しやすい。
  2. 価格の決定要因
    • 原油の価格は、需給(需要と供給)のバランス、地政学的リスク(紛争や制裁)、経済状況(景気の良し悪し)によって変動します。
    • 例: 戦争や災害で供給が減ると、価格が上がる。
  3. 取引される原油の種類
    • 主に以下の2種類があります:
      • WTI(West Texas Intermediate): アメリカ基準の原油で世界の原油取引量の大部分を占める代表的な指標原油です。
      • ブレント原油: ヨーロッパ基準の原油。
    • 世界中で取引価格の基準とされます。

原油にはWTIとBrentの2種類ありますが、どちらも国際的な価格指標原油であり、ニュースや経済指標で取り上げられる際にはWTIとBrentの価格がよく言及されます。

ただし、地理的な要因や需給バランスの違いから両者の価格差が開くことも多く、投資家が両方の指標を比較しながら取引方針を考えるケースもあります。

原油と石油との違いは?

なお、「石油」という言葉は、原油や石油製品全般を含む広義の概念として用いられます。

一方、投資対象としては未精製の状態である「原油」を取引することが多く、ガソリンなどの石油製品を投資対象とする場合は、ガソリン先物、灯油先物など個別の商品先物取引に分かれていきます。

項目原油石油
状態地下から採取された未精製の液体精製後の燃料や製品の総称
用途精製されて石油製品に加工されるガソリン、灯油、プラスチックなどで使用
扱いやすさ精製が必要そのまま使用可能な形で提供される

原油は、地下から採取される自然のままの状態の石油のことを指し、そのままでは直接使用されることは少なく、精製されて様々な石油製品として利用されます。

一方、石油は、原油を精製して作られたエネルギー資源や製品の総称で、ガソリンやジェット燃料、プラスチック製品の原料となる物質などが石油製品に該当します。石油は精製されているため、そのまま使用可能な形で提供されるのが特徴です。

簡単に言えば、原油は「自然から採取された素材」、石油は「加工されて使いやすくなった製品群」と言えます。このように、原油は精製というプロセスを経て、私たちの生活に欠かせない石油製品へと生まれ変わります。

原油先物の仕組みと特徴

原油先物取引は、将来の特定時点における原油を、あらかじめ決めた価格で売買する取引形態です。

原油は証拠金取引

多くの個人投資家は実際に現物の原油を受け取ることはせず(※受け渡しが可能な先物もありますが)、満期前に反対売買を行うことで差額を決済する「差金決済」が一般的です。では、具体的な仕組みと特徴を順番に見ていきましょう。

まず、原油先物は証拠金取引の一種です。取引に必要な資金(証拠金)は、実際に売買する原油価格の総額に比べて少額で済むことが多く、いわゆる“レバレッジ”が効くのが最大の魅力です。

一方で、レバレッジが高い分、価格が変動した場合の損益幅も大きくなるので、リスク管理が非常に重要になります。

「売り」から入る取引が可能

さらに先物取引では、買いだけでなく「売り」から入る取引(ショートポジションを持つ)が可能なため、相場が下がる局面でも利益を狙える柔軟性があります。原油相場が下落すると判断したら先に売っておき、想定どおり下がったところで買い戻して決済する、という具合です。

株式取引とは違い、“空売り”が標準機能として組み込まれていることが、先物取引ならではの特徴と言えます。

期日が設定されている

また、先物取引には期日(限月)が設定されており、その期日ごとに取引が行われ、満期が近づくほど流動性や取引量に変化が出やすくなります。

期日ってなに?誰が何のために決めたの?

先物取引の「期日」は、取引所が決定してるにゃ。

先物取引は、将来の一定時点における商品の価格を取り決める契約だから、この「一定時点」を明確にすることで、契約内容が統一され、市場全体で透明性が確保されるんだにゃ!

先物取引における「期日」とは、その取引契約が終了する日、つまり「最終決済日」のことを指します。この期日までに契約した内容(買いまたは売り)を決済する必要があります。

先物取引では、あらかじめ設定された期日(満期日)があり、この日までにポジションを清算する必要があります。

なぜ期日が重要なのか?

  • 価格の影響
    期日が近づくと、市場では「満期に向けた動き」が見られることがあり、価格変動が大きくなることがあります。
  • ポジションの管理
    投資家は期日前にポジションを適切に清算する必要があるため、計画的な取引が求められます。

先物特有の「限月ごとの価格カーブ」(コンタンゴやバックワーデーションなど)も、投資戦略において考慮すべきポイントです。

原油の価格と変動要因

出典:世界の経済ネタ帳

原油価格は非常に変動が大きいことで知られています。2014年頃には1バレル100ドル超まで上昇したWTIが、その後一気に50ドル、30ドル台まで下落したり、2020年にはコロナショックの影響で一時期WTIの先物価格がマイナスをつけたことも歴史的な事件として有名です。こうした急激な値動きの背景には、以下のような要因があります。

  1. 需給バランス
    世界的な経済成長が加速すると、物流や工業生産などでエネルギー需要が増え原油消費量が伸び、価格上昇要因となりがちです。逆に経済が停滞し需要が落ち込むと、価格下落へと向かう傾向があります。
  2. OPEC(石油輸出国機構)や産油国の動向
    サウジアラビアなど主要産油国の方針や、OPEC+(ロシアなどOPEC以外の産油国も含む)会合での増産・減産の合意は、原油価格に大きなインパクトを与えます。特に協調減産が発表された場合は、市場の供給量が減るため価格上昇要因になりやすいです。
  3. 米国のシェールオイル事情
    シェールオイルの生産コストやアメリカの在庫量(週間在庫統計など)は、市場参加者にとって重要な情報源です。生産量の増減や在庫量の変化が需給バランスを左右し、原油価格に影響します。
  4. 地政学的リスク
    中東地域の紛争や、パイプラインのトラブル、制裁措置など、地政学的な不安要素も大きな価格変動要因です。原油が安定的に供給されない可能性が示唆されると、市場心理は敏感に反応して価格が急騰する場合があります。
  5. 為替相場
    原油価格はドル建てで取引されることが多いため、ドル円や他の通貨との為替変動も影響を及ぼします。たとえば、円安が進むと日本円で見た原油価格は高くなり、円高に振れると安くなる傾向があります。

このように多様な要因が交錯し、原油市場は大きく動きやすい性質があります。投資家にとってはリスクも大きいですが、うまく相場観を活かせば大きなリターンを狙うことも可能です。

原油先物の投資方法

ここからは、実際に原油先物に投資する方法を具体的に見ていきましょう。代表的な取引形態を順番に紹介します。

(1)先物取引(短期で利益を狙うならコレ!)

もっとも直接的なのが、証券会社や商品先物会社を通じた原油先物取引です。

WTI原油先物はニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の主力商品であり、取引単位は1枚で1,000バレルが基本です。個人投資家向けにはミニサイズやマイクロサイズなど、取引単位の小さい先物も用意されています。

先物取引では、通常は証拠金として数十万円から数百万円(レバレッジ次第)を用意する必要があります。取引会社や相場状況によって変動しますので、口座開設時や取引前に確認が必須です。

(2)ETF・ETN・投資信託

現物を直接扱う先物取引に比べ、ETF(上場投資信託)やETN(上場投資証券)、投資信託を通じて原油に連動する金融商品に投資する方法もあります。

先物のようにレバレッジを大きくかけずに、より少額から取引できるメリットがありますが、先物特有の期限がない代わりに、ETFや投資信託では「ロールオーバーコスト」が組み込まれていたり、商品によってはコンタンゴ時(先物価格が期近より期先の方が高い状態)にパフォーマンスが劣化しやすいリスクがあります。

しかしながら、初心者にはハードルが比較的低く、証券会社の口座から株式感覚で売買できる点は魅力の一つと言えます。

(3)CFD(差金決済取引)

CFD取引は、証拠金を差し入れて原油価格の差益・差損を狙う取引であり、先物取引と似ていますが、先物よりも小額での取引がしやすいケースが多いのが特徴です。また、期限(限月)がなく、継続的にポジションを保有できるメリットがあります。

ただし金利相当分やスワップポイントが発生し、長期保有ではコストがかさんでいくこともあるため、短期から中期のトレーディング向きという側面があります。

(4)原油関連株への投資

エクソンモービルやシェブロンなど、大手石油会社の株式を買うことで、間接的に原油市況に投資することも可能です。

株式には配当があるため、原油価格が上がらなくても配当を得られる可能性がある一方で、実際の株価は原油価格以外の要因(企業業績、経営戦略、財務状況など)にも左右されるため、必ずしも原油価格に連動しないという特性があります。

いずれの方法を選ぶにしても、メリット・デメリットを十分理解し、自分の投資スタイルや資金量、リスク許容度に合った手法を選ぶことが大切です。

原油先物はいくらから始められる?

原油先物取引を始めるためには、まず口座開設が必要です。

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証券会社や商品先物会社によっては最低入金額を設定しているところがあります。

基本的には証拠金を準備する必要がありますが、その必要証拠金は日々変動します。参考として、WTI原油先物(スタンダード)1枚の必要証拠金は一時期数十万円から数百万円程度が目安とされてきました。ただし価格変動が激しくなると、取引所や証券会社が証拠金を引き上げるケースもあり、厳密な金額は常にチェックが必要です。

資金が限られている初心者や、まずは少額で試したいという方にとっては、取引単位が小さいミニ先物やマイクロ先物、あるいはCFDや原油ETFなどの選択肢を検討するのが良いでしょう。証拠金が少なくて済む、もしくは株式同様の感覚で購入できるため、ハードルが低くなります。

原油先物はいつ買えばいい?

原油先物をいつ買うか(あるいは売るか)は、以下のような指標やニュースを見ながら判断するのが一般的です。

  1. OPECの定例会合や産油国のニュース
    協調減産や増産の報道があると、大きく相場が動く可能性があります。特にOPEC+会合の結果やサウジアラビアの政策変更は注目度が高いです。
  2. アメリカの週間在庫統計
    毎週発表される米国エネルギー情報局(EIA)の在庫統計は、需給を短期的に推し量る上で重要な参考材料となります。在庫が大幅に増えれば価格下落、減れば価格上昇要因とみられることが多いです。
  3. 世界的な景気指標
    GDP成長率や製造業購買担当者景況感指数(PMI)など、世界経済の体温を示す指標も原油の需要を推測する鍵になります。経済が好調かどうかを示す指標は、中長期的な価格トレンドに影響しやすいです。
  4. 地政学的リスク
    中東に限らず、主要産油国や輸送ルート上での紛争やテロ、政治不安、制裁措置などのニュースは常にウォッチしておきましょう。

上記のような情報を総合的に判断し、短期的なトレードではテクニカル指標(移動平均線やボリンジャーバンドなど)もあわせて利用するなど、タイミングの取り方を検討します。

原油先物のおすすめの投資方法は?

  • 短期で利益を狙うならレバレッジが効く先物やCFD
  • より手軽に始めたいならETFや投資信託
  • 配当なども狙いたいなら原油関連株への投資

結論から言えば「どの方法がベストか」は、投資家一人ひとりの資金量やリスク許容度、トレード期間によって異なります。以下に一般的によく利用される方法と、その理由を挙げます。

  1. 長期保有を視野に入れるなら、ETFや投資信託を活用
    ロールオーバーコストなどはかかるものの、先物取引のように証拠金の追加リスクが小さい点が初心者にとって安心材料です。少額からスタートでき、証券口座から簡単に売買できる利便性も魅力でしょう。
  2. 短期〜中期で利益を狙うなら、CFDや先物
    レバレッジを効かせて大きなリターンを狙うなら、証拠金取引が有力です。特にCFDは取引単位が小さく、限月もないため、相場の流れを機動的に捉えやすいでしょう。ただし、想定外の急変に備えたリスク管理(ストップロス設定など)は必須です。
  3. 原油関連株での間接投資
    エクソンモービルやシェブロンなど、世界的大手石油会社の株式やETFを購入する方法は、キャピタルゲインだけでなく配当の恩恵を得られる可能性があります。ただし株式固有のリスクもあるため、原油価格だけでなく企業リスクも含めた総合的な分析が必要です。

取引に慣れ、相場観がある程度確立してきたらCFDや先物取引にステップアップし、リスク管理を徹底した上でレバレッジを活用していくという流れが理想的ではないでしょうか。

まとめ│原油先物取引で重要なこと

原油先物はハイリスク・ハイリターンな投資商品であり、WTIやBrentといった指標原油の違いを理解し、価格変動要因(需給や地政学リスク、為替など)を把握した上で、適切な取引手段を選択することが大切です。

レバレッジを効かせたいなら先物やCFD、より手軽に始めたいならETFや投資信託、配当なども狙いたいなら原油関連株への投資といった形で、自分の目的やリスク許容度に合った方法を選ぶことで、原油市場のダイナミックな値動きを味方につけることが可能になります。

もちろん、原油市場は投機筋や各国の政策要因など、多数のプレイヤーが参入しているため、短期間で急騰・急落することも珍しくありません。損切りのルールをしっかり定める、十分な資金管理を行う、ニュースや経済指標をウォッチするなど、リスク管理を徹底することが重要です。

初心者の方はまず取引ルールや先物の仕組みに慣れ、無理のない範囲でポジションを持つ練習から始めるとよいでしょう。そして相場の流れを経験的に把握しつつ、最終的に先物やCFDの大きな可能性を活かしていく形が望ましいと言えます。ぜひ本記事を参考に、あなたの投資活動にお役立ていただければ幸いです。

私がこの記事を書いたよ!

ぬこにゃん

ぬこにゃん

為替市場の鋭い眼を持つネコにゃん! 自宅の心地よいオフィスから世界経済を見守り、 飼い主の傍らで日々のトレード 生活費を稼いでで飼い主を支えるにゃ!

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